発達障害だったわたしへ

自閉症と虐待サバイバー/光はまだ、こそばゆいけれど……書いて見つめて生きていく/元全国紙記者/半分未練、半分隠居なう

お坊さんとお見合いしたときのはなし

愛されない女は鬼になる

さっきなにげなく、くさくさした気持ちでスマホをスクロールしてたら、女優の松居一代さんの夫・船越英一郎さんへの不倫告発動画なるものが流れてきて、くさくさしてたからつい、クリックしちゃったんです。いけませんね。

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そしたら大変、松居一代さんの狂気に一瞬にして引きずり込まれ、「船越英一郎 裏の顔」「松居一代週刊文春にだまされた」と題した計2本、数十分もの動画を、最後まで全部見てしまいました。

ていうか、松居一代さんがたびたび両手を胸にをあてて、窮状を訴えるジェッシャーといい、語り口といい、般若のようになってしまった表情といい、どこか懐かしい感じをおぼえる……と思ったら、これうちの母親そっくりで、母親と重なって見えてしまったところも、引き込まれた大きな理由のひとつかもしれないです。

いずれにしても、愛されなくなった「女」というのは「鬼」になるんだなあという普遍性がそこにはありました。

よその夫婦のことについては、わたしの知るところではありませんが、鬼になってしまった女のおそろしさというものに、くさくさしていた気持ちは、どっかに行ってしまいました。

頻尿すぎるお坊さん

とはいえ、ひとつだけものすごーく気になったことがあります。繰り返しになりますが、よその夫婦については、ましてや夜の営みなどについては、他人が関知するマターではないわけですが、これだけはものすごく気になったよ、という点がひとつだけありました。

真偽はさだかではありませんが、それは、船越英一郎さんが勃起不全となる重度の糖尿病をわずらいながら、国で決められている2倍量の100mgのバイアグラを心臓発作のリスクを抱えて飲んでまでして、ダブル不倫相手とセックスしてたとかしてないとかいう話に関してです。

なぜ、ここのエピソードにわたしは食いつかずにはいられなくなってしまったかというと、いつかお見合いしたあるお坊さんとのことを思い出してしまったからです。

そのお坊さんは、その地域では、もっとも多くの檀家さんをかかえる大きなお寺の次期住職でした。ですが、お嫁さんをもらわないかぎり、住職を継ぐことはできず、お寺にとっても、地域の将来にとっても、お嫁さん問題が、たいへん切実な課題となってました。

その地域に密着した記者の仕事をしていると、取材先とのつきあいで、そういう社交や外交も、好むと好まざるにもかかわらず、むげにできない大切な仕事のうちだったりしました。

その地域では顔のきくスナックのママさんから、どうしても会ってほしい人がいるとゴリ押しにゴリ押しをされ、そのお見合いは設定されたのでした。

直前までしぶるわたしに、ママさんは強引に車でわたしの家の近くまで迎えにきて、店を貸し切り状態にして、豪華な料理を2人のために準備して、待ち構えていました。

お坊さんの年齢が50歳だというのは前もって聞いていたのですが、初めて会ったとき、もはや78歳くらいに見える深く刻まれたほうれい線と顔のたるみに、ほんとうに50歳なのかと疑ってしまいました。

そして、カウンターに並んで、乾杯の生ビールがまだ飲み終わらないとき、おじいちゃん、いや、お坊さんは急いでトイレに立ちました。戻ってきた際、「おれ、頻尿なんだよね」と告白されました。

その瞬間、わたしはこの人と仮に1%でも夜の営みなんてものをもつのかという想像をゆうに超えて、おむつが、アテントが、頭の中をかけめぐりました。

それから10分刻みに、おじいちゃん、いや、お坊さんは、急に席を立ってはトイレに駆け込むのです。

お坊さんとはその後、その地域では伝統の雪まつりデートをしました。

ですが、野外なのでトイレが見当たらず、いつも以上に我慢してしまったのでしょう。

ろうそくの明かりにともされたロマンチックな雪のイルミネーションを横目に、お坊さんは突然ひとり駆け出し、民家のトイレに助けを求めようとしましたが……果たして間に合ったのか、間に合わなかったのかは、聞いてないのでわかりません。

のちに分かったことですが、お坊さんの家系はみんな重度の糖尿病で早くに亡くなっていました。ご兄弟も若くして、週1の人工透析が必要な重度の糖尿病をわずらい、施設暮らしをしているようです。

お坊さんの症状も明らかに、進行した糖尿病にみられる「切迫頻尿」という典型的な症状です。

脳梗塞で倒れて7年間植物状態の末、亡くなったわたしの祖父も、もとをたどれば放置した糖尿病が原因でした。

失明しても、足の壊死が進んでも、発作でたおれる直前まで失禁しながら大量のお酒を浴び続け、生活習慣をあらためることは一度もありませんでした。

そういうのを間近に見ていたからなのかは分からないけど、生活習慣病、糖尿病を甘くみるのはよくないと思っています。というか、自覚のなさほど手のうちようがないものはないと思っています。

バイアグラと極楽浄土

お坊さんも、頻尿なんてたいしたことなくて、自分は78歳のおじいちゃんに見えてるなんてつゆ知らず、健康体の50歳で、自分はまだまだ現役で、いざとなればバイアグラを使って極楽浄土に行けるとすら思っている節がある。

 自分も体が不調なときは、バイアグラではないけれど、薬の力に頼るところはあります。ですが、「不調」であることを「自覚」し、そうした自分の体と向き合いながら、本来の力を取り戻していきたいと思っています。

そうした互いの魂の形は、互いにどうし合うこともできなくて、相手に投げた「愛」の形を、そのまま同じ「愛」としてキャッチしてくれるはずだと囚われることの危うさは、松居一代さんを「鬼」にしてしまったあの動画が物語っています。

自覚がない相手にたいしても、首根っこをつかんで、自覚をうながさせることなど、不可能でしょう。

もう帰ることがない街のお坊さんについて、ひさびさに思い出してみました、というお話でした。

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