発達障害だったわたしへ

自閉症と虐待サバイバー/光はまだ、こそばゆいけれど……書いて見つめて生きていく/元全国紙記者/半分未練、半分隠居なう

わたしが「プロ」であるりゆう

賛否両論が興味深い「プロ障害者」ということば 格安航空会社「バニラ・エア」を利用した半身不随の車椅子の男性が今月、 奄美空港の階段式のタラップを腕の力によって自力であがらされ、 バニラ・エア側が男性に謝罪したというニュースは 記憶に新しい。 だ…

青空はみがきをした

きょうはよく空を見た日だった。 空を見ると、さいきん空を見てないなって思う。 青空の下で、はみがきをした。 青空はみがき。 夏でも日陰は意外と涼しい。 閉鎖病棟にいたとき、急に変わった薬の副作用で目がぼやけてしまって、 文字がまったく読めなくな…

ろくでもない文脈で思い出されるほど悲しいことはない

わたしの母は猛者でした 小さいころからこれまで、友達とかと「みーしぇるのお母さんってどんな人?」と何気なく話題になるたび、わたしは返答に窮したものだ。 なぜなら、わたしの母は、たとえようがないくらいの「猛者」(もさ)だったから。その猛者度を…

お坊さんとお見合いしたときのはなし

愛されない女は鬼になる さっきなにげなく、くさくさした気持ちでスマホをスクロールしてたら、女優の松居一代さんの夫・船越英一郎さんへの不倫告発動画なるものが流れてきて、くさくさしてたからつい、クリックしちゃったんです。いけませんね。 www.youtu…

「差別」のメカニズムについて歩きながら考えた

「ガイジ」とバカにされました きょうは海に続いていくまっすぐな道を、ひたすら歩いていきました。 松林を切りひらいて作った抜け道なので、たまにびゅんびゅん飛ばした車が前から後ろからやってきては、ひかれそうになります。 こんなときに事故を起こした…

歌舞伎役者の妻さんといちご大福のこと

前進する日もしない日も 毎朝9時過ぎになると、夜勤から引き継ぎを受けた日勤の看護師さんが、「検温」(けんおん)というのをしに病室にやってきます。その名のとおり体温や血圧などを計りながら、いまの体調だったり心の具合だったりを、ことこまかに聞き…

わたしにとって「書く」ということとブレンドコーヒー

あこがれの背中を追いかけていたかった頃 わたしは、お金持ちよりも、うまい文章がかける人というのに、すごくあこがれます。 小説家とよばれる方の、その言葉や切り取る場面のチョイスひとつとっても、どこか文化的、文学的な香りをはなつ文章に出くわすと…

浅瀬でさえわめきながら溺れる人間……それはわたし自身だった

昨夜、ツイッターを眺めてたら、自民党の女性代議士(42)が秘書に浴びせたとされる「絶叫暴言」「暴行傷害」の生音声があがってきて、どんなもんかなと思って聞いてみたんです。 www.youtube.com 思ったよりすごかった、という率直な感想もさることながら…

プラマイゼロは世界をすくう

きょうは暑いです。ネットを見てると、不思議ですね。みんな河原でバーベキューしてじゅーじゅー肉を焼いてるんじゃないかと思えてきます。世界のなかで入院して取り残されているのはわたしだけなんじゃないか……みたいな。 たぶん、仕事でひーひー言っている…

やっぱりわたしは「無職の子」

世の中には「医者の子」「貧しい農家の子」「ごく普通のサラリーマンの子」とかいろんな親のもとに生まれた子どもがいますが、なにを隠そう、わたしは「無職の子」です。 「無職の子」だということをはじめて意識させられたのは、中学校のときでした。 わた…

きになるあのこへ

きになるあのこは、猫みたいな子だった。なにをしたいかというわけでもなく、勝手気ままにわたしの部屋に泊まりにきては、すうっと気配を消していくものだから、何日かたって、ああ、あのこは帰ったんだっけと思わせられた。 夜、わたしがだんだん眠くなって…

30年ぶりに姿を現した父との出会い、そして別れ(5)

孫が抱けないまま死んでいくのはみじめだ ティールームを出て、私は父を仙台駅まで歩いて見送ることにした。見送れば、こいつは片付く、だからあと少しの辛抱だ、と。すり減っていく魂がアーケードのアスファルトに溶かされてへろへろになりそうな自分を、へ…

30年ぶりに姿を現した父との出会い、そして別れ(4)

お父さんに成長を喜んでもらいたかった 豆腐懐石の店を出て、父は気をとりなおそうとして、「そんなにみーしぇるさんがお父さんが家に泊まることを嫌がるんだったら、もう一軒お店に入って親子みずいらずで話そう」というので、私は仙台駅に戻る道にあるティ…

30年ぶりに姿を現した父との出会い、そして別れ(3)

なぜか体が鉛のように硬直していった そんなこんなで、30年ぶりの再会を果たしたぎこちない親子。仙台駅前から続く長いアーケード商店街を歩いて、予約した豆腐懐石の店へと向かった。 父は、高校卒業後、ずっと小学校の教師をしてきた。昨年定年退職し、…

30年ぶりに姿を現した父との出会い、そして別れ(2)

口くさっ! その週末、仙台駅の新幹線改札前で、私は父を出迎えるため、待っていた。静岡県の掛川駅から東海道新幹線で東京まで出て、それから東北新幹線に乗りついで、30年ぶりに、(というかいなくなった当時の記憶はないので)生まれて初めて私は「お父…

30年ぶりに姿を現した父との出会い、そして別れ(1)

ストーカーじゃなくて、お父さんだった そのしらせはある日突然やっていた。読売新聞の記者で仙台に赴任していたときだから、20代後半のときのこと。いつもどおり県庁の記者クラブで原稿を書いていたら、自席の内線電話が鳴った。 私はいつものようにベル…

旅とマッチ箱みたいな部屋とキッチン

あまりなにも考えず、またマッチ箱のような部屋に住んでみようかと思うのです。 うっかり上体を起こしたら、ゴンッとすれすれの天井に頭をぶつけてアイタタタとなる。久しぶりの休日の朝早く、宅急便のチャイムに叩き起こされ、寝ぼけまなこのまま下りるはし…

わたしがお外をこわがるりゆう

先日、読みたい小説があって、県立図書館へ外出したのですが、実家が言えないのと、無職で勤務先が書けなかったこととで、ホームレス扱いされて、貸し出しカードすら作ってもらえなかったというお話を、ここでしたようなしなかったような……その続きというか…

「境界性パーソナリティー障害は30歳になると落ち着く」説への疑問

ここ数日は、少し疲れてしまって、というかいつものことですが、突然電池が切れて、じわじわ充電して回復してくると、また一気に120%くらいを気づいたら使い果してしまい、バタっと倒れる……といったような状態です(イマココ)。 そういうときは、ほんと…

やっぱり精神障害者は生きていても意味がないのではないかと、心がくじけてしまいました

手帳を理由に採用取り消し 今日は朝から、秋田の地元紙・秋田魁(さきがけ)新報さんで、こんな記事をうっかり目にしてしまったものだから、胸がざわざわしてしまって、いけません。 秋田県の由利本荘市というところの「地域おこし協力隊」(人口減や高齢化…

「家族」というものが分からないということ

誕生日がおめでたいのか分からない 誰にも言うほどのことでもないと思っていたので、これまで言ってこなかったのですが、実は私、Facebookの誕生日を非公開設定にしています。みみっちい話ですね。というのも、誕生日に「おめでとう」とメッセージをもらった…

発達障害がなぜ記者を続けてこられたか

先日、発達障害なのに(という表現は語弊があるかもしれませんが)なぜ早稲田大学に入ったり、記者を続けてこられたりしたのかという質問をいただきました。そのなかには、発達障害で、もちろん弱みもあったかもしれないけど、きっと強みもあったはず、そこ…

「歯を見せるな!」と怒る先生に、歯を「ニーッ」と見せてみたときの話

小学校にあがって間もない頃のこと。その日は身体測定だった。 私の通ってた小学校は1学年4クラスあって、会場になってた多目的教室に、一度に全員は入りきれないからと、廊下で順番を待っていた。体操服に着替えて、みんなで体育座りをしながら。 他の学…

雨は天然のデパス

やったー。今日はやっと雨だ。雨のにおいが好き。雨だと窓の外に咲く薔薇がいつもより生き生きと咲いているように見える。緑も色濃く見える。なによりも、雨が降ると、ゆるされてるような気持ちになれるところが好きだ。 雨が降らないと、ただでさえじっとし…

どこまでが発達障害で、どこまでが能力の問題か分からないから苦しい

障害者グループホームと就労支援施設を見学した 退院後の選択肢をいろいろ考えていくにあたって今日は、デイケア施設の見学に行く予定になってたけど、体調が悪いのと気がのらないのとかで中止させてもらった。デイケアは、簡単にいえば、精神障害者の日中の…

自閉症さんの永い言い訳(4)

このブログを始めて、どこがどう発達障害で、自閉症だとかさっぱりわからない、とか、診断がおかしいんじゃないか、といった指摘をいただいた。私も、どこがどう発達障害で自閉症なのかを説明しろと言われてもうまく説明できない。どういう基準にあてはまっ…

自閉症さんの永い言い訳(3)

祖母にとっての孫の私からしてみれば、どんなに母が私を人質にとって、親族が見ている前で葬式をボイコットして、派手に暴れて、逃亡をはかって、祖母に愛されてないアピールしたところで、無駄な努力に映った。祖母は、母のそんな気持ちをくみとれるような…

自閉症さんの永い言い訳(2)

師範学校の国語の先生をしながら、自称文学者だった祖父のもとには、亡くなる数日前から、兄弟や親戚をはじめ、ナゾな文学者仲間が全国からたくさん駆けつけた。祖父に短歌を作って呼びかけてみたり、祖父を囲んで懐かしの曲を歌ったりとにぎやかで、家族で…

自閉症さんの永い言い訳(1)

私が18歳まで過ごした静岡の家には、山茶花(サザンカ)の生垣が植えられていて、秋には鮮やかなピンク色の花を咲かせた。幼いころは、年に数回、庭師さんが来て、庭の木々や植物をはじめ、生垣を丁寧に整えてくれた。私はその様子をじーっと眺めたり、剪…

缶コーヒーが楽しみなのか、それとも缶コーヒーしか楽しみがない世界なのか

いま入院している施設の近くには、自動販売機がある。たかが自動販売機、されど自動販売機だ。長期にわたって入所している精神病患者たちにとって、わずか数百メートルにも満たないお散歩コースに、この自販機があるかないかで、楽しみが大きく変わってくる…

発達障害の自分を認めることは、母を「ゆるす」ことにつながるかもしれない

絶縁した母が、毎晩夢に出てきます 私が「発達障害」について語ることは、母を「ゆるす」ことと表裏一体なんじゃないかなと、ふと思った。 いわゆる絶縁というものをして、10年近くなる。こんなに私は、バスや電車にすら乗れない母がもう追いかけてこない…

そのうち「発達障害」という言葉に飽きていくでしょう

「発達障害」が云々という話をすることは、あらゆるポジショントークの一つにすぎなくて、私はとても飽きっぽいので、そのうち飽きると思ってる。 というか、私が24時間365日「私は発達障害」なんて思って生きているかといったら全然ちがって、朝からひ…

発達障害の社畜が柵の外に出ると、本当に飢え死にするぞという話

こうタイトルを打っておいて、「社畜」という言葉は私は好きではありません。ちなみに「発達障害」もね。なんでもかんでも発達障害いうなというのも分かります。ごもっともです。でもなにかを伝えるときに、こういうラベリングすることもときには必要なので…

精神科病棟で身体拘束をされてみて

いま入院している病院は、ほんと信じてもらえてるんだなあと思う。外出も基本的に自由で、どこに行くかとかましてや何をするかとか、誰かと会うかとか、なにも聞いてこない。広い原っぱで放牧されている牛になっているかんじ。ほかの患者さんも、それぞれの…

マルセイは精神障害者じゃなくて六花亭のバターサンド

突然ですが、警察の隠語で、精神障害者のことを「マルセイ」と言います。精神障害者の精にマルを囲んで、マルセイです。 全国紙の新聞社に入社して配属された横浜支局というところで、まず担当したのが神奈川県警の警察署(サツ)担当だった。いわゆるサツ回…

退院、なにがめでたい

病気でも治らない病気があることを知ったのは、いつからだろう。幼稚園のもも組さん(年中)のときだった。スクールバスを降りて家に帰って、いつものように「おじいちゃま、ただいま」と言って、祖父の部屋に行ったけど、いつものように祖父は「おかえり」…

スポーツはゲートボールだけでもういいと思った

今日は朝から、もったいないくらいの青だけの空で、ちょっと外に出た。近くのデイケアかなにかの施設の人たちが、15人くらいでゲートボールをやっていたのをぼーっと眺めていた。目はそんなによくなかったなとか思った。 参加者たちは、「8」という旗が立…

発達障害でNHK記者をクビになった私が思う、NHKの「発達障害プロジェクト」

上司「障害者だから記者の仕事はムリ」私「ちょっ……」 NHK秋田放送局の上司から、発達障害であることを理由に契約の終了を言い渡されたのは、今年2月のことでした。 会議室に呼び出され、「これからもこの仕事を続けていきたいですか?」と聞かれ、私は「も…

ブロッコリーに対するささやかな憎しみ

入院してから、毎日じゃがりこばかり食べているような気がします。 というか、入院すると普段は飲まないハーブティーをよく飲むようになりますね。 とはいえ、おかしに占めるじゃかりこ率は、異様に高くなりますね。 じゃがいもがらみで、ポテチといえば、閉…

地域に「寄り添い」系記者が増殖中(3)

地域に寄り添いすぎる系記者が増殖 でも、空気を読んで、それで終わっちゃったらおしまいだ、ほんとそう思う。読んだら一緒に、地域の閉塞感とともに、沈んでいくしかなくなる。「地域の一員」というのもいい意味でも悪い意味でも利用される言葉だけど、それ…

地域に「寄り添い」系記者が増殖中(2)

そもそも「べらんめい調」でもなんでもないのが寒い いや、話をまじめに戻して、上記抜粋の3段落でなにが残念なのかを説明したい。まず、「べらんめい調」のヒーローが、そもそも寒いのである。彼に陶酔できる読者といえば、彼の超ミクロローカルな信者くら…

地域に「寄り添い」系記者が増殖中(1)

前回の続き。 それでも、さきがけさんが置いてあれば、それでも私は読むのだ。 地方ではセンセイが本当にエライ じゃあどこを読むのかというと、今日(5月4日)の場合は、「医者が駆ける」という5回連載の4回目。 人口減が全国で最も進み、高齢化率40…

精神病院入院患者の独白

精神科病棟に地元紙がある まあ当たり前だよなあ…… いま入院している精神病院の共用スペースには、秋田で最大シェアを誇る地元紙(というか秋田県内ではそれ一強)の秋田魁(さきがけ)新報が届く。 初めてこの精神病院に入院したとき(今回2度目)、えー、…

サンラータン麺を待っていた「どうでもいい」瞬間がいいかんじだった

酸っぱ辛いラーメン、酢辣湯(サンラータン)麺が食べたくてたまらなくなって、 私は入院中の病院に外出許可をとって、 国道沿いのその店に車を走らせた。 この地域のタウン誌でうまいと紹介される人気店らしく、 私が到着した昼過ぎには、 日曜ということも…

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